増刊号 診断基準とその使い方
IX.腎・尿路
26.尿路感染症
松本 文夫
1
1神奈川県衛生看護専門学校付属病院・内科
pp.2174-2175
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222045
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尿路感染症は腎尿路系の微生物による炎症性疾患であって,上部尿路感染症(腎盂腎炎)と下部尿路感染症(膀胱炎)に分別される.本症の原因微生物のほとんどはグラム陰性桿菌であり,ブドウ球菌,腸球菌以外のグラム陽性菌の分離頻度はきわめて低率である.また本症は女子において好発するが,とくに思春期以降増加傾向著しく,男子では前立腺肥大のみられる年齢以降好発する.腎盂腎炎の多くは偏腎性である.
尿路感染症は感染部位によって,治療法,予後を異にするので,本症では腎尿路系における感染症の存否とともに感染部位の決定が診断の要点となる.下部尿路感染症は臨床症状によって診断が可能であるのに対して,上部尿路感染症とくに慢性症は不定の臨床症状にとどまり,しかも腎不全にまで進展することがあるので,尿路感染症の診断は腎盂腎炎の診断に集約される.
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