今月の主題 リウマチとその周辺
診断
関節X線写真の見方—とくにリウマチの初期変化について
鳥巣 岳彦
1
1大分医科大学・整形外科
pp.968-971
発行日 1988年6月10日
Published Date 1988/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221697
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■一般的事項
最近リウマチ性疾患の薬物療法の効果測定に,X線像が客観的指標として組み込まれることがるが,微細な変化を読影するためには,正しい肢位で撮影された鮮明なX線写真が必要である.関節疾患のX線所見の第1は軟部組織の腫脹を判別することであるとよく言われるが,滑膜の腫脹は視診や触診で判定すべきである.関節の単純X線像は骨組織の骨梁が見える程度の線量で撮影されたものでなければならない.
次は必ず関節の2方向撮影を行い,立体的に把握することである.前後像でエロジオンが見えなくても側面像で見えることがある(図1).場合によっては斜位像が必要となる.手のMP関節のエロジオンの早期発見に役立つといわれるBrewerton撮影法は,撮影肢位を変えたに過ぎない.仙腸関節の初期変化をとらえるためには断層撮影が,環軸推亜脱臼の有無や程度を知るには動態撮影が不可欠である.
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