今月の主題 炎症性肺疾患へのアプローチ
診断法
X線診断
平松 慶博
1
1聖母病院・放射線科
pp.204-209
発行日 1988年2月10日
Published Date 1988/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221512
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■胸部X線写真の適応
近年CTスキャンなどの高価なX線装置の普及に伴い,一般の患者がX線検査を受ける機会も増加している.それに従って,患者のX線被曝に対する意識も高まってきている.少し咳があるとか,熱があるとかということで簡単に胸部のX線写真を撮影することは,決して好ましいことではない.多施設にまたがって受診している患者も多く,X線検査の受け過ぎではないかという疑問をもっている患者も多い.患者の症状,臨床所見などをよく考えて,はじめてX線撮影の指示を出すべきであるが,施設によっては血液検査と同じような気楽さで,X線検査を施行しているのが現状であろう.しかしながら,まったく症状のない早期肺癌の診断において,X線写真は依然として大きな役割をはたしており,胸部X線写真の価値は少しも減じてはいない.
肺の炎症性疾患に罹患しやすいのは,小児と老人であるが,この両者においては,まったく異なったアプローチをしなければならない.つまり,放射線感受性の高い小児においては,なるべく放射線被曝を少なくする努力が必要である.一方,老人においては,肺野の病変を見た場合には,常に肺癌の可能性を念頭におく必要があるため,かなりの頻度で断層撮影などの精密検査へ移行することが多い.
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