カラーグラフ 眼と全身病【新連載】
サイトメガロウイルスによる網脈絡膜炎
宇山 昌延
1
1関西医科大学・眼科
pp.126-127
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221497
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ヘルペス群ウイルスによる網膜の感染症は,従来は先天性免疫不全の乳幼児に発病するもので,成人に発生することは稀であった.最近は腎移植,骨髄移植など臓器移植をうけた成人に大量長期に免疫抑制剤が投与されたり,悪性腫瘍に対する抗癌化学療法剤の使用,外科の大手術や重症の外傷のあとで大量の抗生物質やステロイド剤の使用が行われ,個体の免疫力,防御力が低下し,後天性の免疫不全状態が医原性に作られている.さらに,近頃のAIDSの患者もそうである.
その結果,日和見感染opportunistic infectionが急激に増加し,その1つとしてヘルペス群ウイルスの網膜への感染が増え,とくにサイトメガロウイルス(cytomegalovirus,CMV)の網膜への感染をみることが急激に増加した.
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