増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅴ 消化器疾患治療薬
漢方
151.消化器疾患の漢方治療
水野 修一
1
,
尾関 恒雄
2
1国立小倉病院・消化器科
2産業医科大学・第3内科
pp.2122-2127
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221271
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
消化器疾患の漢方治療を述べるにあたり,薬方の選択に必要な漢方用語を解説しておきたい.漢方医学では,同一疾患でも,患者の虚実によって治療の薬方が変わることが多い.なぜそうなのかの説明は,現代医学的には明確に説明し得ず,経験的なものという以外にない.漢方医学の多くの書をみれば,虚実にも2つの意味があることが知られる,すなわち,患者の体力の虚実(体質の虚実)と病の勢いの虚実(病勢の虚実)である.前者は,主に日本の古方派の立場であり,後者は,中医学派が主張する.筆者は古方派に属し,虚実は前者の体質の虚実で考えている.その判定法を表に掲げた.薬方選択の説明では,実証,中間証(虚実間),虚証という順で述べていく.実際の臨床の場では,中間証が最も多い.
頁数が限られて,詳しい説明は困難なので,各臓器別によくみられる疾患について,漢方エキス剤で応用可能なもののみを挙げておいた.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.