今月の主題 内科医に必要な救急治療
症状を中心とした救急治療
ショック状態
平澤 博之
1
1千葉大学医学部・救急部・集中治療部
pp.774-775
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220928
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ショックとは何か
一般にショックとは血圧が下った状態ととらえられることが多く,例えば出血性ショックなどはその典型であろう.しかしショックの研究が進むにつれて,低血圧イコールショックというような単純な考えでは,現在行われているショックの治療は出来なくなってきている.
ショックの病態生理の研究が進むにつれて,その研究は細胞レベルにまでおよび,結局ショックとは,「主要臓器への有効血流量が減少するため,組織の代謝が障害され,正常の細胞機能を維持出来なくなり,その細胞が形成している主要臓器の機能が障害される状態」ととらえるのが一番理解しやすい.いかなる理由で主要臓器への血流が減少するかについて,われわれは①循環血液量の減少に起因した心拍出量の低下,②心拍出量の低下による細胞膜NA-Kポンプ失調に起因した2次的細胞膨化(cell swelling)による毛細血管レベルでの血管内腔狭少化,③体内で産生された各種の液性因子(humoral mediator)による細胞障害,とくにcell swelling,の3つの機序を考えている1).
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