今月の主題 甲状腺疾患—up-to-date
甲状腺炎
無痛性甲状腺炎
浜田 昇
1
1大阪市立大学医学部・第2内科
pp.426-427
発行日 1987年3月10日
Published Date 1987/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220846
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無痛性甲状腺は,もともと亜急性甲状腺炎と同様の臨床経過をたどるが,亜急性甲状腺炎とは異なり,甲状腺に疼痛のない症例に名づけられたものである.一般に,び漫性甲状腺腫,甲状腺機能亢進症状を有し,バセドウ病と考えられる症例で,131I甲状腺摂取率が非常に低値であることにより発見される.数週から数カ月の経過で自然によくなる病気で,不明の原因により甲状腺に急性の炎症を生じ,そのため甲状腺濾胞が崩壊し大量の貯蔵されていたホルモンが血中に放出され,一時的に甲状腺中毒症状を生ずるものである(図).この病態を表現するのに無痛性甲状腺炎のほかに,Silent thyroiditis,Lymphocytic thyroiditis with spontaneous resolving hyperthyroidismなど多くの呼び名があり,産後にみられる一過性の甲状腺中毒症もこの範疇に入るものと考えられている.
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