今月の主題 白血病—最新の知見と治療の進歩
ヒト白血病/リンパ腫の成因
井川 洋二
1,2
1理化学研究所・分子腫瘍学研究室
2東京医科歯科大学・難研細胞制御部門
pp.1522-1525
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219903
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腫瘍の発生要因としては,物理的要因(放射線,紫外線など),化学的要因(発癌化学物質……イニシエーター,プロモーターなど),生物学的要因(がんウイルスなど)があげられてきたが,最近における細胞遺伝学および分子遺伝学の研究の進歩に伴って,これらも,DNAの損傷と修復,調節および構造遺伝子の突然変異,染色体の再編成,癌遺伝子(オンコジン)の活性化などの視点で捕えられるようになり,これに宿主側要因(免疫能など)が加わって,腫瘍発生のメカニズムが論じられるようになってきた.
本項では,ヒトの白血病/リンパ腫の発生要因について,とくにウイルス要因,オンコジンの活性化を中心に述べてみたい.また,実験動物における腫瘍発生から,今後進展させるべき研究方向についても若干触れたい.
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