今月の主題 高血圧症—今日の治療
高血圧治療の最近の動向(editorial)
竹下 彰
1
1九州大学医学部・循環器内科
pp.1340-1341
発行日 1985年8月10日
Published Date 1985/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219860
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新しい降圧薬の登場
高血圧症の治療は近年めざましい発展を示している.その最大の理由は,新しい降圧薬が次から次に開発され,治療に用いられるようになってきたことにある.これらの新しい降圧薬は単に降圧作用がより強力であるだけでなく,副作用の点でも秀れているものが多い.その結果,従来からのサイアザイド利尿薬を中心とした段階的治療法は一部見直しが必要であるとの考えも出されている.また,患者の病態に応じた治療法の選択が可能となり,とくに合併症を有する患者の治療は,より容易にかつ効果的に行うことが可能になった.今日では血圧を下げることができるかどうかが問題ではなく,いかに血圧を下げるかが問題になっている.患者のquality of lifeを考慮して,副作用をより少なく,かつ予測される心血管合併症をより効果的に防止しうる治療法を選択することが求められている.このように多くの新しい降圧薬が登場して,高血圧症の治療は新しい段階を迎えようとしているように思われる.本特集はこのような視点に立って,今日の高血圧治療の実際を解説しようと試みたものである.
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