今月の主題 高血圧症—今日の知識
高血圧症に関する最近の動向
池田 正男
1
Masao Ikeda
1
1国立循環器病センター・内科
pp.1928-1929
発行日 1982年11月10日
Published Date 1982/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217990
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最近数十年間における高血圧症に関する研究は実にめざましいものがあり,その研究内容も多彩で,豊富な情報量がえられ,高血圧症についての理解が深まってきたことは事実である.しかしながら,現在も依然として,本態性高血圧症の成因は明らかにされていないし,高血圧症の発症を予防することはできない.また,新しい有用性のある降圧剤が次々と開発され,高血圧患者は以前に比べ多大の恩恵をうけていることは確かであるが,根治的な治療法は確立されているわけではない.
医学および関連分野の研究の進歩によって,血圧調節の機構および新しい血管作動性物質の化学構造やその生理的作用が明らかにされてきた.しかしながら多くの血圧調節機構あるいは血管作動性物質の中で最初に活動するものは何か,また1つの機構が,他の調節機構に対し,いかなる時期にどのような関連をもって,高血圧の発症をまねき,あるいは,高血圧症を進展ないし制御しているかについては,明らかにされているとはいえない.本態性高血圧の成因および種々の病態の成り立ちについては,Pageがモザイク説をうちだして以来,新しい業績は生まれていない.
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