今月の主題 リンパ系疾患へのアプローチ
リンパ系疾患の診断
リンパ節腫大(脾腫)のある患者のみかた
外山 圭助
1
,
新保 卓郎
1
1慶応義塾大学医学部・内科
pp.1736-1737
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219243
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□理学的所見
触診の方法は,指と皮膚を密着させ,皮下組織の上で皮膚を動かすようにして探る.皮膚の上で指を動かすのではない.また,頸部リンパ節群をみるときは,首をやや前傾させ,さらに検査側の方を向かせて頸部の筋群を弛緩させると観察しやすい.胸鎖乳突筋内側にある深頸部リンパ節群は観察しにくい.これらを探るためには第2,3指を鉤状に曲げ,第1指との間ではさみこむようにみる.すべての表在性リンパ節領域をくまなく調べる.とくにホジキン病,非ホジキンリンパ腫の疑われる場合は,鎖骨下,肘部(Epitrochlear),膝窩リンパ節も忘れないようにしたい.
触知可能なリンパ節がすべて病的というわけではない.1cm以下で小さく,可動性があり,圧痛がなく,軟らかく,平坦で楕円型のリンパ節は,しばしば正常人でも触れる.また,頸部,腋窩,鼠径部リンパ節は,反復する小さな外傷や感染のため腫大していることがある.しかし鎖骨上リンパ節腫大は重大な疾患の存在を意味し,即座に生検を考慮してよい1).
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