カラーグラフ 臨床医のための血液像
網状赤血球の増多を伴う貧血
原 芳邦
1
Yoshikuni Hara
1
1茅ケ崎徳洲会病院・内科
pp.302-303
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218908
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末梢血中の網状赤血球数は,骨髄での赤血球産生の状態を表わす重要な指標となる.網状赤血球増多を見たら,まず出血か溶血性の貧血が考えられる.
自己免疫性溶血性貧血 小型の球状赤血球(mi-crospherocyte)と網状赤血球の増多が特徴.球状赤血球は,自己抗体により障害を受けた細胞膜の一部が網内系の細胞に貪食され,血色素含量に比し細胞膜の小さくなった赤血球で,central pallorの消失した小型の細胞として認識される.図1にはこうした球状赤血球とともに,大型でややいびつで青味がかった赤血球が目につく.青味がかった色調は多染症(polychromatophilia)と呼ばれ,細胞質内に塩基性色素と親和性のあるRNAが多く含まれていることを意味し,幼若な赤血球,すなわち網状赤血球(reticulocyte)を表わす.網状赤血球を確実に知るためには,超生体染色でRNAの凝集した網状構造をもつ細胞の数を数える必要がある(図2).
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