今月の主題 免疫からみた腸疾患
腸の免疫機構
分泌性IgAの機能
谷内 昭
1
Akira Yachi
1
1札幌医科大学・第1内科
pp.206-207
発行日 1983年2月10日
Published Date 1983/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218135
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局所免疫系について
消化管,気道などの粘膜,外分泌腺の分泌液中の免疫グロブリン(Ig)組成は,血清と比較してIgAクラスが著しく多く,その主体をなすのが分泌性IgA(SIgA)である.粘膜は外界と接して多種多様の抗原の感作を受けSIgAが産生・分泌され,粘膜面を被覆して第一線防御の役割を演じている.このSIgA産生応答は血中抗体とは異なる独立した動向を示すので,系統免疫系と対比して局所免疫系として位置づけられてきた.
ヒトの消化管粘膜リンパ組織(gut associatedlymphoid tissue;GALT)は約50gのリンパ系細胞を含み,その量は脾臓のそれに匹敵するといわれ,1日約3gのIgAが産生され,約1.5gのSIgAが分泌される.気道粘膜リンパ組織(bronchus associatedlymphoid tissue;BALT),乳腺,唾液腺などからもSIgAが分泌される.
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