今月の主題 内科医に必要な泌尿器科の知識
泌尿器科的徴候
排尿困難
三木 誠
1
Makoto Miki
1
1東京慈恵会医科大学・泌尿器科
pp.2488-2489
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218060
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排尿困難とは,正常な排尿が円滑に行われない状態をいう.すなわち尿意を感じて努責しても容易に排尿が開始されず,また排尿が始まってもその終了までに長時間を要する状態である.前者を排尿開始の遅延(遷延性排尿),後者を排尿時間の延長(苒延性排尿)という.この両者は同時に発生することが多く,かつどちらかがより強く出現することのほうが多い.そして当然のことながら,尿線細小,尿線中絶,放出力の減弱,残尿感などの症状も伴っている.排尿困難が極端に強まれば,尿意があってもまったく排尿できないという尿閉の状態になる.
ところで,膀胱炎などで排尿痛が強い場合に,排尿困難を訴えて来院する患者があり,事実排尿痛の強い場合は括約筋部内に攣縮が起こり,排尿困難(painful voiding)をきたすこともあるが,一般には排尿困難といえば疼痛のほとんどない排尿困難(difficult voiding)のほうが多い.
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