今月の主題 高血圧症—最近の動向と展望
高血圧症の疫学—最近の成果
小町 喜男
1
Yoshio KOMACHI
1
1筑波大学・社会医学系
pp.1656-1658
発行日 1980年11月10日
Published Date 1980/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216735
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はじめに
わが国の高血圧症の疫学的調査は,高血圧と脳卒中の関連をみることからはじめられた.そして,その当初は,文字通り,血圧値と脳卒中の死亡率,発生率の関係を検討する成績が多かった.20年あまり前から,臨床疫学的な手法,すなわち心電図,眼底,血液化学などの諸検査を導入し,単に血圧値のみでなく高血圧をひきおこす背景,あるいは高血圧の進展過程と脳卒中,心筋梗塞との関わりあいを検査することが可能となった.
また最近では,10〜20年以前より,各地で行われた高血圧症に関する前向き追跡調査(prospective study)の成績を計量医学的な手法を用いることによって検討し,脳卒中発症に関する危険因子(risk factor)が議論されることになった.さらに,食生活と労働を含む最近の日本人の生活環境の変化は著しく,このことが,高血圧症の成り立ちやその進展に大きな影響を与えている.これらのてとをふまえて,最近では,若年者より高齢者に至る高血圧症の疫学的研究が行われるようになってきた.
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