今月の主題 カルシウム代謝の基礎と臨床
カルシウムの生体内分布とその生理的役割
内川 厚司
1
Takashi Uchikawa
1
1名古屋大学医学部・第1内科
pp.1180-1181
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217824
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生体内におけるCa分布とその動態
Caは生体内に炭素,水素,酸素,窒素の有機化合物を構成する基本的な元素についで5番目に多く含まれ,電解質としては最も大量に存在し,Na,Kよりも多い1).そして生体内のあらゆる組織,体液中に存在している.生体内のCa含有量はヒトでは1,000〜1,300gであり,骨に含まれるCa,血液および細胞外液に存在するCa,軟部組織の細胞に存在するCaの3つに大きく分けられる.骨には1,000gを越すCaが含まれ,生体内Caの約99%を占めている.残りの約1%が血液を含む細胞外液および軟部組織の細胞に存在し,血液および細胞外液には約1gのCaが,軟部組織の細胞には約10gのCaが存在している.
生体のCaは腸管からのCa吸収と腎からのCa排泄により調節されている.ヒトのCa摂取量は1日1,000mg近くあり,摂取されたCaの2分の1の500mg近くが腸管から吸収され,残りの500mgはそのまま便中に排泄される.腸管へは消化液として1日約400mgのCaが分泌され,真のCa吸収量は1日約100mgとなり,便中には1日約900mgのCaが排泄される.腎からの糸球体沮液中のCaは1日約100gであるが,その99.9%は尿細管から再吸収を受け,残り約100mgが尿へ排泄される.結局腸管からの1日の真のCa吸収量である約100mgは尿へ排泄され,全体として平衡を保っている.
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