臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
膵臓
膵癌
pp.2217-2230
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217497
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膵腫瘍は,その境界が明白に濃度差として膵陰影内に追えることは稀であり,多くは膵輪郭の変化に基づく膵腫瘤の存在,時にびまん性腫大に基づく.この点,腫瘍部そのものを濃度差として把える肝腫瘍とは異なる.腫瘤部の輪郭も典型例では不鮮鋭化し,浸潤を物語り,また膵周囲脂肪織が消失ないし部分的に減弱する.大病変では低濃度部を腫瘤内に見ることが多いが,腫瘍そのものではなく壊死部と推定される.近年,切除標本とCT像を対比させた京大1外グループの報告によれば,低濃度部には壊死が見られず,腫瘍の乏血部そのものに基づくという.稀には,一様な低濃度が腫瘤部全域を占める癌もある.
図5は膵頭部癌の典型例で,頭部の腫大,輪郭の不整,内部のまだらな低濃度が見られ,下大静脈と腫瘤の一部では脂肪織を欠く.
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