臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
膵臓
扉
板井 悠二
1
Yuji Itai
1
1東京大学医学部・放射線科
pp.2213
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217495
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膵臓の全体像がCTによって非侵襲性に明瞭に描出されることは,まさに驚きそのものであった.しかし,このことと根治可能な膵癌がCTで発見し得るか否かとはまったく別問題である.現在までの知見の集積に基づく答は,切除可能癌の多くは,なんらかの所見を有すが,膵内に留まり膵輪郭に変化を与えぬ膵癌をルチーン検査で見出すことは困難という悲観的なものである.だが進行膵癌が90%くらい正診されるとの報告は,それ自体やはり価値ありとみなすべきである.少なくも過剰な検査を避け,速やかに診断に至る点でCTの有用性は認められる.そのほか,膵結石,膵のう胞についてはきわめて有効かつ信憑性が高い.膵自体の大きさも正確に評価でき,経時的変化も客観的に評価し得る.
膵CTの読影を正常膵とスキャン法,膵癌,膵炎に分けて記す.
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