今月の主題 脳循環の基礎と臨床
脳循環と代謝の測定
局所脳循環
坂井 文彦
1
Fumihiko SAKAI
1
1北里大学医学部・内科
pp.1700-1701
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217350
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脳の機能には分化した局在性のあることが古くより知られ,一見一様に見える脳組織が実際にはそれぞれの部位ごとに異なった作業を分担していると考えられている.そのため脳の機能,代謝,循環などを論ずる場合には,脳内の局所における状態を知ることが他臓器の場合以上に必要となってくる.1955年Landauら1)は,動物においてオートラジオグラフ法による局所脳血流量の3次元的測定法を開発し,正常安静時においても脳血流は脳の局所でかなり異なる値を有することを報告している.ヒトにおいても脳循環代謝諸量を3次元的に測定することは脳の機能の局在性を知るためばかりでなく.脳血管障害の病態生理の理解を深めるための大きな課題であった.1945年Kety & Schmidtがヒトの全脳循環代謝測定を可能にして以来,現在までにいくつかの測定法が開発されてきたが,技術上の制約のため必ずしも満足のいく局所脳血流動態をとらえうるものではなかった.ヒトにおけるいわゆる局所脳血流測定法の第1歩はIngvar & Lassen2)による85Krあるいは133Xe動注法である.これは放射性アイソトープ(RI)を内頸動脈内に急速注入し,頭部に固定した複数のRl detectorにより脳内RI clearance curveを記録し,各detectorがとらえる局所での脳血流を算出するものである.
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