今月の主題 内科医に必要な脳神経外科の知識
今日の治療
顔面痙攣
近藤 明悳
1
Akinori KONDOH
1
1福井赤十字病院・脳神経外科
pp.2296-2298
発行日 1980年12月10日
Published Date 1980/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216962
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はじめに
顔面痙攣症は,亜急性,進行性に発生し,間歇的,不随意的に起こる顔面筋の痙攣であり,これは患者を対人恐怖症,うつ状態にまで進展させることもあるほどの非常な悩みの種である.従来この症状に対する根本的な治療法はなく,顔面神経末梢部に種々の外傷を加える方法が唯一の治療手段であったが,これには術後の顔面神経麻痺,または痙攣の再発が問題となる.しかし近年,この顔面痙攣症の原因が顔面神経起始部における小血管(主に動脈)による圧迫刺激であることが判明し,したがってその根本的治療法として,手術用顕微鏡下に顔面神経をその圧迫血管より減圧する方法,つまり,microvascular decompressionの方法が発達してきた.筆者らはこの治療法により顔面痙攣の治療を積極的に行い,きわめて満足すべき成績を得たので紹介する.
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