臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XV.小児疾患
流行性耳下腺炎 VS 伝染性単核球症
南谷 幹夫
1
Mikio MINAMITANI
1
1東京都立駒込病院・感染症科
pp.2180-2181
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216930
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なぜ鑑別が問題となるか
この両者は頸部リンパ節腫脹をみることが多く,流行性耳下腺炎では病初期の顎下リンパ節腫脹のみを認めるとき,あるいは耳下腺腫脹がなく舌下腺や顎下腺の腫脹を認めるときは鑑別すべき疾患となる.両疾患とも小児期にみる急性熱性感染症であるが,その頻度は流行性耳下腺炎のほうが伝染性単核球症よりもはるかに多い.
流行性耳下腺炎はムンプスウイルスによる幼児,学童に多くみる唾液腺炎であるが,睾丸や膵臓などの腺組織を侵すばかりでなく,中枢神経系合併症を伴うことも少なくなく,むしろ全身性感染症として取り扱うべきである.伝染性単核球症はEBウイルスを原因とする全身リンパ節腫脹,扁桃炎,肝脾腫を主徴とする疾患であり,近年その病原が確立されたが,西日本では本症に類似した地方病的に発生する腺熱リケッチア症がある.
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