Laboratory Medicine 異常値の出るメカニズム・30
プロラクチン
屋形 稔
1
Minoru YAKATA
1
1新潟大学医学部・中央検査部
pp.1442-1444
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216686
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プロラクチンの分泌調節
プロラクチン(PRL)は乳汁分泌ホルモン,黄体刺激ホルモンなどとよばれ,哺乳動物のみならず他の脊椎動物にも存在し,個体維持,種属維持に重要な役割を果す.分子量22,000,アミノ酸基200の下垂体性ペプチッドホルモンである.分泌細胞は下垂体前葉に存在する好酸性細胞で,電顕によりPRL分泌顆粒が認められ,これは授乳時放出され,乳汁分泌終了とともに消褪する.
PRLは下垂体茎を切断すると増加し,下垂体前葉のin vitro組織培養に視床下部エキスを添加する実験では低下をみる.またラットで摘出下垂体の腎被膜下自己移植実験で増加する.以上から視床下部性PRL分泌抑制因子(PIF)により分泌調節されると考えられる.一方ラットではPIF以外にPRL分泌促進作用を有する因子(PRF)が視床下部から抽出されている.またTRH(TSH releasing hormone)の投与で血中PRLは有意に増加する.つまり,PRLは視床下部から合成分泌の抑制と促進の二重調整支配機構をうけていることになる.二重調節の理由としては,PRLはGHと同様に標的内分泌腺がなく,short feedbackのみでlong feedback looPによる分泌調節機序をもたないためと解される(図1).
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