今月の主題 最近の腎疾患の基礎と臨床
新しい検査法
血中免疫複合体と補体系
中山 秀英
1
,
大野 丞二
1
Syuei NAKAYAMA
1
,
Joji ONO
1
1順天堂大学医学部・内科
pp.538-539
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216482
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はじめに
可溶性免疫複合体の糸球体内への沈着が糸球体腎炎成立の主因となっていることは,WilsonやDixonらのウサギ実験的血清病により広く支持されている.ヒト糸球体腎炎においても,螢光抗体法で腎組織に免疫グロブリンや補体成分が顆粒状に沈着することでも明らかである.
近年,免疫複合体測定法がつぎつぎと開発され,血中レベルでの循環性免疫複合体の測定が可能となっている.病変成立に免疫学的機序が想定される疾患では,血中免疫複合体および補体系の両面を把握することは臨床上重要である.腎疾患における補体系の変動についてはすでに報告している1,2)ので,今回は免疫複合体と補体系との関係ならびに治療経過による両者の動きを筆者らの成績3)をもとに述べてみたい.
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