臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
87.β-リボ蛋白
中村 治雄
1
1慈恵医大青戸分院内科
pp.1836-1837
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216191
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異常値を示す疾患
まず,簡単にβ-リポ蛋白(β-Lp)の定義についてふれておきたい.それは,測定方法によって,意味するものが若干異なるからである.厳密にβ-Lp(狭義)という場合には,超遠心法でSf 0〜20分画(低比重リポ蛋白)を指す.電気泳動法で,β-グロプリンに椙当した部分のリポ蛋白分画に相当するものである.しかし,沈殿を利用した方法(Dextran sulfate,Heparin-Ca,および免疫沈降を用いたβ-リポテストなど)では,表1に示すとおり,超遠心法によるSf 20〜400(超低比重リポ蛋白),あるいは電気泳動法によるα2-グロブリン相当のpre-βリポ蛋白をも,ともに測定しており,両リポ蛋白をあわせて,β-Lp(広義)と呼んでいる.それぞれに含まれる脂質成分が,やや異なるので,狭義のβ-Lpではコレステロールが,広義のβ-Lpではコレステロールと,中性脂肪がともに多く含まれることになる.
現在,簡易法として最も普及している多くのKitは,ほとんど沈殿を利用したものであり,したがって,広義のβ-Lpを指しているので,ここでは,それを中心に述べてみたい.表2にβ-Lp(広義)の異常値を示す疾患を示してある.
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