今月の主題 酸塩基平衡の実際
酸塩基平衡異常の臨床・呼吸不全
中枢神経障害
篠原 幸人
1
,
亀井 徹正
1
1東海大神経内科
pp.1484-1485
発行日 1979年10月10日
Published Date 1979/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216073
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はじめに
中枢神経系の障害に際して,呼吸器系に一次的な病変がまったくないのに呼吸不全を起こすいくつかの病態が知られている.その主なものを紹介し,脳と肺の臓器相関を知ることが本稿の目的である.
人間の呼吸コントロールには二つの系が関与することが知られている.自発的(voluntary)呼吸系は大脳に中枢があり,中枢からの神経線維は錐体路とともに下降する.したがって,両側大脳ないし両側錐体路の病変で自発的呼吸の障害が生じうる.一方,自動的(automatic)呼吸の中枢は延髄・橋下部にあると考えられ,おそらく主として延髄の被蓋のparamedian reticular formationにあるらしい.この中枢からの線維は高位頸髄では脊髄視床路の近くで,脊髄前側方を下行するという.とくにこの自動的呼吸系に障害が生じると,患者が昏睡に陥ったり,睡眠に入ったときには自発的呼吸も停止するので,いわゆる中枢性呼吸不全が出現する.
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