今月の主題 血栓とその臨床
血栓好発状態
糖尿病
阿部 正和
1
,
望月 紘一
1
1慈恵医大第3内科
pp.832-833
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215909
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
糖尿病は,インスリン作用の不足による代謝障害であり,遺伝因子と発症因子が相互に関与して発症し,血管障害が徐々に進展してゆく疾患である.糖尿病に宿命的なこの血管障害は,心筋梗塞,脳血栓症などの動脈硬化性病変,すなわちmacroangiopathyと,網膜症や腎症に代表される糖尿病性細小血管症(diabetic microangiopathy)の2つに分けて考えられる.後者は糖尿病に特異的な血管病変であり,前者は特異的とはいえないが,その出現・進展が顕著であると考えられている.近年における糖尿病の治療法の進歩により,糖尿病性昏睡および感染症は激減し,今や糖尿病は血管障害の時代に入ってきたといってもよく,糖尿病の治療の目的はこの血管合併症の進展予防にあるといっても過言ではない.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.