今月の主題 心筋症—その展望
心筋症の治療
ウイルス性心筋炎と副腎皮質ホルモン
戸嶋 裕徳
1
,
大北 泰夫
1
1久留米大第3内科
pp.90-91
発行日 1979年1月10日
Published Date 1979/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215729
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はじめに
感冒様症状に引き続いて,うっ血性心不全などの心症状を呈し,心電図で非特異的ST・T変化などをみる急性ウイルス性心筋炎1)は,日常診療上気をつけておくべき心疾患の一つである.治療については,ウイルスに対する根本的方法がないため対症療法となる.
副腎皮質ホルモン投与の是非については臨床上いまだ意見の一致がないが,他のウイルス感染症におけると同じく,その有効性は特殊な状況に限られている.動物実験では,コクサッキーB3ウイルスと副腎皮質ホルモンを同時接種した場合には,心筋壊死がより広汎に広がったというKilbourneら2)の報告や,副腎皮質ホルモンがウイルス感染を結果的に増悪するという報告3)もある.この機序として,副腎皮質ホルモンはウイルス増殖を抑制するインターフェロンの合成および活性を抑えること4)も注目されている.
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