臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
IV.消化管疾患
5.内視鏡による治療法
消化管異物の内視鏡的摘出法
林 貴雄
1
1日大第3内科
pp.1920-1922
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208201
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はじめに
ファイバースコープの発達により,内視鏡は診断を目的としたいわゆる「検査」のみならず,内視鏡による処置へと大きく発展し,その一つとして,ファイバースコープによる異物摘出が行われるようになった.食道および胃などの上部消化管異物は,気管や気管支の異物のように気道閉塞を起こすケースは少ない.しかし,嚥下障害,異物感,疼痛などの症状があらわれ,ときには出血,呼吸困難が生じ緊急内視鏡の必要に迫まられる場合もある.
口からの異物は多くが誤って飲み込んでしまったケースがほとんであるが,中には自殺目的や精神異常者が常識では考えられない物(爪切り,ボールペン,ピンセット,ゴムチューブなど)を飲み込んだケースも経験している.魚の骨,ピンなどが食道に刺さった場合は別として,消化管異物はほとんどが胃に落ちているが,食道に引っかかった場合はそれより下部の食道に狭窄(食道癌)などがあるものと考えねばならない.
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