今月の主題 デルマドローム—内科疾患と皮膚病変
Sign and Symptom
光線過敏症
西岡 清
1
1阪大皮膚科
pp.1620-1621
発行日 1978年11月10日
Published Date 1978/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208108
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はじめに
生体にはメラニン,角層,skin surface lipidなどの紫外線防御システムが存在するが,防御能を越える光線照射で,皮膚における炎症が惹起される.太陽光線のうち,中波長紫外線(290〜320nm)は健常人に日焼け(sunburn)を起こさせ,長波長紫外線(320〜380nm)はメラノサイトを刺激して,皮膚の色素沈着(Suntan)を起こさせる.ところが,健常人では反応しない程度の光線照射に対して,先天的あるいは後天的に炎症反応を示す場合があり,これが光線過敏症と呼ばれる状態である(図).先天性の光線過敏症には,生体内の代謝異常による光毒性物質の蓄積をきたす先天性ポルフィリン症や,光線照射に対するDNA修復酵素の欠損がみられる色素性乾皮症などがあり,後天性の光線過敏症には,後天性の代謝異常に起因する場合や,外来性の薬剤を含む化学物質の蓄積,あるいは化学物質が光線エネルギーを受けて抗原化し,生体にアレルギー状態(photoallergy)を作り出す場合などがある.
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