私の経験例
尿毒症性心包炎の一例
野村 正征
1
1川崎市立井田病院特殊医療部腎センター
pp.1681
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207481
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患者は46歳女性で,41歳に急性腎炎,45歳に慢性腎炎と診断され食事療法中.入院3カ月前に感冒様症状出現,その後より急速に腎不全が進行,3日前乏尿に到り転院してきた.Acutely illの状態で,Somnolence,Anasarca血圧176/106mmHg.左胸水貯留,腹腔穿刺後,皮下血腫,皮下出血斑,麻痺性イレウス,肝腫を認め,BUN 91.1mg/dl,Creat 5.6mg/dl,K 4.4mEq/l,WBC 9,600,Ht 15.7%,出血時間15分以上,APTT 59′′,Prothrombin time 27′′,血沈1時間15mmで,尿中はFDP弱陽性.一過性DICを伴っていた(表).これらの問題点を解決するため,まず頻回血液透析を行った.意識は清となり,胸水減少,血腫吸収などの好転の兆しを認めたが,しかし14病日になり再び胸水貯留と著明な心拡大が出現し,患者は安静時呼吸困難を訴え,心胸比は75%に至った.毎回の血液透析時に除水を計ると,呼吸困難はさらにいっそう増強し,血圧132/100mmHg,吸気一呼気の血圧差8mmHg,Friction rubは聴取しなかったが,心エコー,99mTc心腔シンチグラムでは明らかな心のう液貯留を認めた.細菌,ウイルス,SLEに対する検索を行ったが,疑わせる所見はまったく得られず,尿毒症性心包炎の診断をしたのち,連日透析を行う一方,プレドニソロン80mg静注と抗結核剤の投与を開始した.
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