臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
IV.呼吸器系疾患の診断技術
5.肺生検
於保 健吉
1
,
林 忠清
1
1東医大外科
pp.1716-1719
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206881
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原理
ここ数年間に,肺疾患,とくに肺癌の診断技術はX線写真の読影をはじめ,肺門部に発生した肺癌に対する気管支ファイバースコープの応用,末梢型の肺癌に対しては病巣擦過法,経皮肺生検法などいずれも著しい進歩を遂げた.われわれの教室における時期別にみた肺癌の診断率は表1に示すように,年々向上しているが,いずれの時期においても末梢型のものの診断率が肺門部のそれよりも低い.とくに末梢型で2cm以下の症例では,喀痰細胞診の陽性率は35%前後であり,また病巣擦過法による成績も50〜55%が限度であるので,確診率を高めるためには肺生検法によらねばならない.
肺の末梢発生の病巣に対する生検法としては,組織診あるいは細胞診のための種々な肺生検法が従来から行われているが,代表的なものは,外径2.5mmの組織診を目的としたVim-Silverman針による経皮肺検法と外径1mm前後の細い生検針を使用する細胞診を目的とした肺生検法がある.前者はしばしば重篤な合併症がみられることから,現在わが国では広く行われていない.したがって,この項では細胞診を目的とした経皮肺生検法について述べる.そのほか経気管支生検法,開胸生検があるが,ここでは省略する.
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