開業医学入門
"かぜ"のこじれ
柴田 一郎
pp.1430-1434
発行日 1976年10月10日
Published Date 1976/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206797
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開業医にとって最も頭を悩ます問題のひとつに,いわゆる"かぜのこじれ"がある.およそ日本の開業医の診る患者の約半数はいわゆるかぜ症候群であると,最近なにかで読んだことがある.まず最初に,一般にかぜ症候群と呼ばれている一群の症候群とはなにか,ということについて検討してみたい.はじめに一応おことわりしておきたいことは,最近かぜ症候群について,大半の成書には,ウイルス学的検索などの実験室的検査について詳細に述べられ,個個のウイルスで起こる症候の分類まで詳しく述べられているが,筆者としては特殊なものを除き,これらの問題には立ち入らないつもりである.実際問題として,発病早期と回復期の2度にわたって検体をとり,これをさらに外注する,といっても結果が判明したときには患者は治癒してしまっている.検査結果が分かったとしても,抗ウイルス剤にっいてはABOBがわずかに有効なこと,また一部のウイルスに対してはアマンタジンに若干の効果がある程度でしかない現在,私たちとしては対症療法を行う以外に方法はないのである.
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