開業医学入門
老人の診療について(その1)
柴田 一郎
pp.1150-1153
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206711
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これからの外来診療—老人患者の激増
最近,わが国でも欧米の先進国なみに全人口構成における老人の占める率が着々と増加している.その社会経済学的な意味については述べるつもりはないが,その当然の帰結として,私の外来でも老人の数が著しく増加してきた.
1963年に老人福祉法が制定され,厚生省に老人福祉審議会が発足し,その結果,毎年秋には老人検診が実施されることになり,必然的に私たちの外来にも老人の増加がみられ,さらに国により70歳以上の老人の医療費無料化(東京都では65歳以上の収入制約つき無料であり,全国の各自治体により若干の差は存在する)が,健康保険制度に便乗という変則的な形式においてではあるが,実現された,この結果,さらにわが国全般の医療機関の外来および入院患者における老人の割合を激増せしめ,また一方においては,このための既成の医療保険経済の圧迫がようやく当局においても論議し始められてきたようである.
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