今月の主題 痛みとその対策
疼痛への対処
術後痛
美馬 昂
1
,
岸 養彦
1
,
恩地 裕
2
1大阪府立病院麻酔科
2阪大麻酔学
pp.660-662
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206565
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はじめに
麻酔学の発達に伴い,手術中の痛みという苦痛に関しては,患者は完全に開放されている.しかしながら,麻酔を術後までも続けていくことは特殊な例を除いてはないので,手術後の痛みは,手術をうける患者にとっては今でも苦痛であると同時に,手術前の不安の大きな原因になっている場合が多い1).
手術後の疼痛の中でも,胸部・腹部手術後のものは,その強い痛みのために呼吸・喀痰排出運動が妨げられて呼吸器合併症を惹起する原因となるので,積極的な疼痛の寛解を計る.そのため,呼吸・循環系の管理が必要となってくるが,それらに関しては麻酔医の最も関心の深いところであり,多くの研究が報告されている.これに対して,鎮痛効果ということに対する研究は,手術後の疼痛が他の場合と異なり,単に苦痛としてだけで,疾患の診断的価値を含まないので,積極的な鎮痛剤の使用によって完全にコントロールできる性格のものである。したがって,わずかしか報告されていない.
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