洋書紹介
—C. A. Owen Jr. et al.—「The Diagnosis of Bleeding Disorders」
塚田 理康
1
1虎の門病院・血液科
pp.1863
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206313
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Mayo Clinicの実例をもとに解説
最近の数年間における血液凝固学,特に血小板およびフィブリン分解産物についての知見の蓄積や検査法の進歩は,各種血小板機能異常症,血栓症や血管内血液凝固症候群(DIC)の診断や治療を容易にしてきている.本書は,その点を考慮して,1969年に発行された第1版が改訂されたものである.
第1版と同様に止血および血液凝固の概念とその研究の歴史を要領よく述べてたのち,現在Mayo Clinicで用いている止血および血液凝固の日常検査の種類と検査方法の詳細について解説している.経口抗凝血薬の投与量の決定に通常用いられているトロンボテストの評価が低かったり,プロトロンビン消費試験の有用性を強調したり,またフィブリン分解産物(FDP)の検出にはプロタミン試験がエタノール試験より秀れていると述べているなど,各項目が著者の経験をもとに書かれていることが知られる.もちろんこれらの考えに全く問題が無いわけではないが,1つの考え方として受け入れると良いと思う.各種の疾患については,凝固因子,血小板,血管などの原因別に説明しているが,各項ともにMayo Clinicにおける代表例の要約と検査結果をあげながら述べられており,読者の理解を容易にしている.
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