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癌の治療計画,予後への指針,治療効果判定,各病院間の情報交換のために病期を決めることは重要なことである.肺癌について病期を明らかにして実際に用いられているのは,わが国の日本肺癌学会の臨床病期分類が唯一のもので,1966年病期分類委員会(委員長北本 治)によって制定され,すでに臨床的に定着している8).しかし国際的に通用するためには国際対癌連合(UICC)のTNM委員会のとりきめの線に沿うて協力すべきである.
UICCの肺癌に関するTrialは1966年にT,N,Mのそれぞれの暫定定義が決められ,これに基づいて1967〜1971年の5年間の初診患者について行うことを要請されていた.これを実行に移したのは日本と米国のみである.米国は2,155例の手術例に基づきretrospectiveに分析検討し,新しいT,N,Mの定義とTNM-Groupingすなわち病期をUICCのTNM分類委員会に提出し,採用され,すでにUICCとAJC両者の名前で1974年版として発行されている2).一方,日本ではUICC日本TNM委員会(委員長石川七郎)肺がん委員会(委員長吉村克俊)によって全国104施設の2,049例についてprospectiveに分析検討が行われ,米国とは別個にTNMの定義と病期の提案を行った3).その後,日本代表石川博士と米国代表との間で話合いがもたれ,日米間での微差についてほぼ一元化することができた.その結果,T,N,Mの定義については全く同一であるが,病期についてはTINIMOが,米国案はI期に,日本案についてはII期に含まれる.この点は1972〜1977年の第2次Trial Periodについて臨床試行について検討されることになる.
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