今月の主題 消化管潰瘍—診断および治療の現況
潰瘍性大腸炎
その治療
横田 曄
1
,
宇都宮 利善
2
1国立大蔵病院
2国立大蔵病院外科
pp.1088-1089
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206091
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日本における潰瘍性大腸炎(以下C.U.と略)の歴史はまだ浅い.しかし,ここ数年症例は急激に増加し,もはや珍しいものではなくなった.筆著らがアンケートで集計している症例をみると,臨床症状も欧米のそれとは必ずしも同一とは思えず,人種差のほかに環境的因子が関係しているように考えられる。欧米と比較して,長期観察の症例が少ないので,日本人についての治療法の優劣を詳しくは論じられない.
治療法についてみると,かつては病因が不明なままに,一般的な対症療法で終始していたのが,1940年代の初めにSvartzがSalazopyrinを導入して大きく変わった.さらに50年代にはACTH,Kortikosteroidが使われ,治療成績は向上し,今日一般に行われている保存的治療法の基本的パターンができた.これらの薬剤が,活動的症状をより早く鎮圧し,緩解期間を長くさせ,死亡率の低下を招いたことは事実であるが,C.U.を完全治癒に導くものではない.
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