今月の主題 炎症性腸疾患とその周辺—診断と治療
概念・分類と問題点
潰瘍性大腸炎の診断基準と病期分類
宇都宮 利善
1
,
鈴木 紘一
1
,
篠原 央
1
,
吉田 武史
1
,
横田 曄
2
1国立大蔵病院・臨床研究部
2国立大蔵病院
pp.192-195
発行日 1987年2月10日
Published Date 1987/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220790
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潰瘍性大腸炎はわが国において1960年頃までは稀な疾患であった.その後,社会経済の高度成長に伴い食生活を中心とした生活様式の急激な欧米化が進むにしたがい,潰瘍性大腸炎も増加し,現在では決して珍しい疾患ではなくなっている.しかし,この疾患はまだ原因不明であり,難治性で時に致命的な結果をもたらすために厚生省は1973年に本疾患の調査研究班を発足させ今日に至っている.研究班が発足した当時は炎症性腸疾患の疾患概念や診断基準が統一されておらず,実地診療の場において種々の混乱がみられていた.1973年にWHOのCIOMS(医科学国際委員会)により,潰瘍性大腸炎とCrohn病の名称と疾患概念が発表されるにおよび,この研究班でもこれに準じて疾患概念と診断基準案を作製し,一般に公表した.以来,これらの両疾患については世界的に共通の尺度を用いて理解し,論議することが可能となった.その後10余年を経た現在はこれらの疾患概念も定着し,日本の何処においてもこれらの疾患が診断され,治療が行われるようになっている.本稿では潰瘍性大腸炎の診断基準と病態分類に主眼をおき,疫学調査で得られた資料について述べる.
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