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患者と医学知識
伊藤 徳治
1
1虎の門病院・内分泌代謝科
pp.244-247
発行日 1975年2月10日
Published Date 1975/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205799
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●患者が医学知識をいろいろと持つことが,診療行為上,マイナスとなることがあるでしょうか.
誤った医学知識をもつことが診療上,マイナスになることはいうまでもないことでしょう.患者がそういう知識に基づいて自己流の治療をしたり,主治医に不信の念を抱くようになることは,患者,医師双方の不幸です.これにはマスコミや一般出版物の正しくない記事のほかに,患者から患者への誤った知識の伝達も大きな役を演じています.たとえば私の専門の方面では,医師に尿糖が出るといわれたらすぐに,内服薬療法を行っている同病患者にすすめられるまま,薬局から同じ薬を買って同じ量内服して低血糖症状を起こした糖尿病患者がいます.これなどは,患者が科学的にものを考えることと,処方箋なしには薬が買えないような制度があれば起こらないことでしょう.
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