今月の主題 意識障害への新しいアプローチ
診断のポイント
小児の意識障害
矢島 邦夫
1
,
福山 幸夫
1
1東女医大・小児科
pp.37-39
発行日 1975年1月10日
Published Date 1975/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205730
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小児は,急速な発達過程にあり,代謝系の不安定さと中枢神経系の未熟性のため,低酸素血症・水電解質の異常・酸塩基平衡異常・中毒性因子などにより,容易に意識障害が惹起される.その発生機転には,複数の因子が関与することが多く,原因となる疾患は,表のように多数存在し,小児期特有の疾患も見られる.意識障害は,救急治療を必要とする機会が多く,検査の選択・早期治療の開始のために,初診時の正確な鑑別診断が大切で,そのために小児期の特徴的な疾患を熟知しておくことがポイントとなる.以下,これらの疾患につき簡単に述べる.なお意識障害は,①意識の清明さの変化としての意識混濁のほかに,②意識の広がりの変化としての意識の狭縮,③意識の方向性の変化としての意識変容があり,この三者は,比較的純粋な形でもみられるが,種々の程度に組み合わされている場合もあり,意識の狭縮や変容が,引き続いておこってくる重篤な意識障害の前徴となることもあり,これらも考慮して意識障害を観察する必要がある.
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