ある地方医の手紙・27
お勝手口の患者
穴澤 咊光
1
1穴澤病院
pp.1358-1359
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205635
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W先生.
私が郷里に帰って間もないころの話です.近くの,とある村役場の依頼で2回ほど衛生問題講演会の講師をやらされました.公民館の板の間にゴザを敷いて座っている200人ばかりの中年男女を前にして,まず村長殿が前座をつとめ,一席ブチましたが,私を紹介するお世辞にも事欠いて,「穴沢博士は現代の野口英世である……」なんて,とんでもないことをいうので,私はハラハラするやら……,穴があったら入りたいやら…….やおら糞度胸をきめて,演壇に上るなり,聴衆にむかって,まず開口番,大声で,
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