小児緊急室
小児異物症
宮田 辰夫
pp.1348-1349
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205631
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鼻腔,外耳道,口腔,咽頭,気道,食道は異物症の好発部である.ことに小児異物は偶発性以外に故意的なものも多く,統計上,全異物症例の半分以上を占める.鼻腔,外耳道異物はほとんど故意的なものが多く,長期嵌在しやすく,緊急度もうすい.これに反し,食道,気道異物は偶発性のものが多いにもかかわらず,症状は激烈,顕現的であり,時には気道閉塞や感染合併で死に至る危険があり,最も緊急的なものである.現今,これら異物症患者は主として気管食道科技術を専攻した耳鼻咽喉科医の一部と,一部外科医により摘出,観血処理が行なわれているが,案外,患者の初訪医は内科医,小児科医,または外科医である場合が多い.したがって,初訪医の適切なる判断,対策が寸刻を争う異物症患者にとくに必要であるわけである.小児の場合,親が最初から異物を訴えてくる場合と,偶然に発見される場合とがある.また異物の種類や介在部位によって,発見の難易があり,誤って他の疾患として長期治療される例も少なくない.近年,診断法,器具の進歩と直達技術の向上,一般化により,異物症学は気管食道科学会を中心にして長足の進歩をとげ,内容も多岐にわたるので,本稿では一船医緊急対策関連のものに限定してみた.
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