今月の主題 臨床心電図のキーポイント
ベクトル心電図はどこがすぐれているか
心室肥大
伊東 貞三
1
,
立山 和美
2
1自衛隊中央病院・内科
2自衛隊中央病院・検査科
pp.603-608
発行日 1974年5月10日
Published Date 1974/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205424
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今回の主題は心室肥大に限られ,しかも心電図では発見できない何物かをベクトル心電図に求めることのようである,心電図およびベクトル心電図の優劣を決定する際に,左室肥大に関しては一般に学者によって意見がまちまちであるので,今回は主として右心室の肥大に問題を限定して多少の私見を述べさせていただくことにする.
そもそもベクトル心電図の臨床的応用に際して,最も価値のある研究はGrishman誘導法による右室肥大と右脚ブロックとの判別の問題であった.その後各種誘導法の発展とともに,今日ではわが国はじめ多くの国々においてcorrected orthogonal systemであるFrank誘導法が用いられるようになった.誘導法が異なってもGrlshmanの提唱した考えには大きな狂いはないように思える.すなわち,右室肥大の判別にベクトル心電図は価値ある役割を果たしているようである.そこで,これからFrank誘導法を用いたベクトル心電図について,それが右室肥大の際にどのようなpatternを示し,どのように臨床に役立つかを筆者らのささやかな経験を通して症例とともにお見せしようと思う.
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