特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
VII 神経
2.内科医に必要な精神科治療のポイント
仮面うつ病—その生活管理
長門 宏
1
,
中川 哲也
2
1九大心療内科
2九大内科
pp.1810-1811
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205116
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不定の身体症状を訴えて医師を転々とする患者の中には,最近問題になっているいわゆる仮面うつ病(masked depression)と思われる症例が少なくない.masked depressionとは,種々の身体症状が前景に出た,つまり身体症状の仮面をかぶったdepressionという意味である.その本態はあくまでもdepression(うつ病)なのである.もっとも,この種の患者は,内科医の前では主として身体症状を訴え,精神科医の前では主として精神症状を訴えるというように,患者側が意識的または無意識的に訴えをマスクするという点もあるかもしれない.
いずれにしろ,masked depressionという言葉は,特殊な疾患ないし診断名を意味するわけでなく,depressionという病気をよりよく理解するための啓蒙的な考え方を示唆するものとして受け止めるべきであろう.
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