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処置を要する期外収縮
日常の診療において期外収縮が問題となるのは,これが1)何らかの自覚症状の原因となっているとき,2)血行動態上好ましくない影響があるとき,3)細動に移行する恐れがあるとき,の3つの場合である.
期外収縮が原因となる自覚症状には期外収縮が起こるたびに動悸や不安感を生じる場合と,期外収縮の存在に気づき,あるいはこれを指摘されたために患者が常に不安感をもつにいたる場合とがある.後者は患者の性格に神経症的な素因のあるときには,とくに問題となり,期外収縮そのものに対する処置というより背景にあるものへの考慮が大事となってくる,期外収縮が血行動態さらには冠循環にも悪影響をもつのは,それが頻発・連発するときである.また連結期が短いと血行動態的に無効の心収縮(pulse deficit)となりやすい.基礎に器質的心疾患をもち,また心不全状態にあるときはとくにこれらの影響は大きい.期外収縮が臨床的にもっとも大きな問題となるのは,これが細動に移行する危険のあるときである.心房細動は自覚症状・血行動態に大きな影響をもつし,心室細動が致命的であることはいうまでもない.一過性心室細動の既往があるもの・心筋硬塞急性期・ジギタリスやカテコラミン過剰のさいみられる心室期外収縮は心室細動に移行しやすい.心電図上の特徴としては,連発するもの・連結期が著しく短いもの・多形性(多源性)のもの・異様な形または幅が異常に広いもの・基礎調律にQT延長やUの異常な増大を伴うものなどは注意を要する(図1).連結期が短く心室期外収縮のRが先行収縮のT波の頂きに重なるものはR on T現象とよばれ,一過性心室細動の間歇期にはしばしばみられる.
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