今月の主題 内科最近の話題
血液
急性白血病治療のための無菌環境
天木 一太
1
1日大・第1内科
pp.478-481
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204700
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白血病の感染症
急性白血病の治療は,この数年間著しく進歩をした.治療がもっとも困難な成人の急性骨髄性白血病でもその緩解率は向上し,昨年1年のわれわれの成績では70%を超えた.この進歩の理由は,第1に抗白血病剤が進歩して強力になり,第2に突然起こってくる出血や感染症の対策が進んだからである.出血は血小板輸血で防止することができるから,感染症の対策がとくに重要である.
われわれの経験からいえば,6MP,プレドニソロンで緩解導入をしていたころは,重症感染症に悩まされることは少なかった.もちろん急性白血病も末期になると,白血病細胞の増殖によりあるいは抗白血病剤のため,感染症が起こったが,これは終末感染症terminal infectionとしてやむをえないものである.しかし緩解導入療法中には,以前それほど感染症に悩まされることはなかった.1967年頃サイトシン・アラビノシッドやダウノマイシンが使用できるようになり,これらを加えて強力な併用療法をするようになってから感染症が増加し,サイトシン・アラビノシッドと6MPとプレドニゾロン併用では,緩解率は56.2%と当時としては非常に立派な成績をあげたが,感染症もまた50%と増加し,以後つねにその対策に努力をしなければならなくなった.感染症としては,肺感染症,敗血症,蜂窩織炎,口腔・消化管の感染症などがあり,原因細菌にはグラム陰性桿菌の率が増加し,また結核や真菌症も問題になる.
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