臨時増刊特集 身体所見のとり方と診断のすすめ方
●得られた身体所見から診断へ
XV.腎・泌尿器系
腎・泌尿器系
折田 義正
1
1阪大第1内科
pp.918-925
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203686
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腎泌尿器系異常と身体所見の関係を考えてみよう.腎のもっとも重要な役割はいうまでもなく,生体の内的環境維持にあるとされている.これが具体的にあらわれる体液各分画の増減,各組成の異常に対する訴えは,浮腫,各腫の脱水症状,渇感などとして自覚的,他覚的にとらえられるが,1つの成分の異常に対し必ず身体所見があるものではなく,他の成分の異常との関係で修飾されたり,異常の程度が強くならないとあらわれなかったり,特徴的所見に乏しいなどの欠点もある.
しかし腎が循環系として血圧調節に働き,また最近注目される造血系に対する開与や,排泄器官から考えられる蛋白漏出,尿の通過障害の際の症状を考えると身体所見も各種のものがあり,さらに後腹膜臓器としての腎,それにつづく尿管、膀胱,尿道などをたどって行くとなかなか多彩な身体所見をみることのできるものである.以後これらを中心に解説をすすめる.なお重要な自覚的訴えも,腎泌尿器系疾患で重要な知見を提供する尿の肉眼的所見についてもつけ加えて記述した.
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