臨時増刊特集 身体所見のとり方と診断のすすめ方
●全体的な把握
III.生命徴候 vital signs
4.呼吸
日野 志郎
1
1東京逓信病院内科
pp.730-733
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203645
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脈拍とは違って,呼吸はある程度意識的に変えられるものであるから,呼吸状態を観察するにはそれとなく見るがよい.外来患者では,診察室にはいってくるときの様子から判断できることがあるし,問診したり脈をみているあいだに観察するのがよい.数とリズムだけでなく,呼吸の型や性質をみてとる必要がある.
呼吸困難(dyspnea)は息切れ(shortness ofbreath)などとも表現され,呼吸するのがむずかしいと感じ,あるいは呼吸するのに苦痛を感ずる状態だから自覚症状だとする見解があるが,意識がないため患者に訴えがなくても,努力呼吸をしているのがわかればこれも呼吸困難といえるから,自覚症状と他覚症状の両面をもっていると解釈しなければなるまい.
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