臨床家の遺伝学入門・4
染色体
大倉 興司
1
1東京医歯大人類遺伝学
pp.446-450
発行日 1971年4月10日
Published Date 1971/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203574
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ヒトの染色体
染色体は細胞分裂の中期metaphaseという時期に光学顕微鏡によってはっきり見ることができる.15年ほど前から組織の人工培養が容易になり,末梢血から白血球を分離して,これを培養することによって簡単に染色体を調べることができるようになった.
白血球培養では培養を始めてから48ないし72時間後(組織培養では約3週間後)に,コルヒチン(コルセマイド)を培養液に加えると,その作用で細胞の分裂が中期からさきに進まない.その時期は染色体が最も濃縮し,かつ各染色体が自己複製(増殖)して2本の染色分体chromatidになっているが,細胞分裂の時に染色分体をそれぞれの娘細胞に分けるための紡?糸spindleの付着する動原体centromere,kinetochoreの部分はまだ分かれていない.
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