臨床メモ
作られた‘小児の湿疹’
松島 富之助
1
1愛育病院保健指導部小児科
pp.300
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203007
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小児科や皮膚科の医師にとって,小児の湿疹ほどその数の多いことと治りにくいことの2つの点から,最も大きな関心をもたざるをえない疾患はない.しかもこの湿疹は体質の遺伝が濃厚にみられ,父母にも同様の体質異常をもつものが多いうえに,文明がすすむにつれて湿疹はふえる傾向にあるという.Washington大学小児科のHolt教授によれば,アメリカで生まれた小児はアフリカの小児の数倍の湿疹をもっていて,また低開発地域の小児が文化のすすんだ地域に移ると,湿疹がふえていると述べている.
その原因として推定されるのは,栄養がよくなると湿疹はふえること—このことは,かぜや消化不良にかかると湿疹が一時的によくなる点からも,またふとった乳児に多いことからも知られるが—も一因であるが,さらに育児指導の面から「あたためすぎ」が大きな因子をなしている.
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